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僕らの絵日記~「タイムトンネルの向こうから」 [ゴールデンブログアワード]

 ・・・『息子と来るのはずい分久しぶりだなあ!』・・昔はよく信州へドライブしたのに、それがもう今は信州で暮らしている。時間が経つのはあっという間だ・・。 カーブをきるたび現れる新しい風景が、つぎつぎと、過去の記憶を呼び起こしていきました。~そして記憶の住人の懐かしい声が、 「パパ~!」と呼びかけてきました・・・。

 10年日記・第1章 (1975年~1985年 )

1 「時の旅人・記憶の住人」

 昔々、今から30年ほど前、ぼくたちは大阪近郊のある町に住んでいました。ぼくが一才になった時、パパとママはチューリップの球根を20個買ったのですが・・・次の春2個のプランターに赤いチューリップがいっぱい咲いたとき、ぼくたちの花と旅の物語が始まりました。

 '75.4.29  「お庭ができたよ」 ママはとってもお花好きで、「絶対これを土に植えたい! お庭が欲しいなあ~」と、庭付きの小さなお家を見つけました。赤いチューリップに囲まれて、皆、とっても幸せでした。 「もうすぐ妹が生れるんだよ!」

 

②  '78.8.10 「憧れの高原へ」 妹が2才になった年、パパの運転する車で信州へ行きました。おじいちゃんやおばあちゃんも一緒。「ペンションに初めて泊まったんだ」・・高原はお花がいっぱい!大きなお庭だった。 ママは「ワアーきれい! あそこで停めて~」って大騒ぎ。それから何度も、ぼくたちは信州へ行きました。

 

 ③ '82.12.19 「夢のマイホームへ」  新しいお家へ引っ越して、ウッドデッキを作りました。僕たちもペンキ塗りのお手伝い。家族会議で犬を飼うことにしたよ、嬉しいな!名前は“シルバー”だ。  

 

 ④ ’83.3「雪大好き!」 大阪にも雪が積りました。ウッドデッキで雪だるまを作ってとっても楽しかったよ。                   「どんぐり目玉が可愛いでしょ。」  お兄ちゃんのはおっきいなあ!」 可愛いよ 冬のアナタ達!

         

 ⑤  ’83.4 「ペンションみたい!」  信州に憧れてママは大阪のお庭に白樺を10本植えました。来た人が「なんやペンションみたいやね。」と言ったので、「うん。いつかはペンションや。」と冗談を返しました。 このとき以来パパとママの合言葉、「いつかはペンション」 になりました。

 1つの命が与えられ・・小さな歩みが一歩ずつ。やがて・・小さな夢が叶えられ・・でも、それは長くはつづかなかった・・。

 数年後、だんだん忙しくなって、誰もこの庭で遊んでくれなくなったのです・・・。                       

 ’85.10 消えゆく風景  5分行けば里山や田園が広がっていた大好きな風景。・・しかしやがてお散歩は真夜中になって、 家族が集まる風景がどんどん消えていきました。 

   

 そして '’88年、高1の春、とうとう、はキレテ「ソンナンヤッタラヤメテマエ!」 と叫んだ・・・。オカンに(オカンは固まった)。自分に。時代に・・。

 '88.5月 シルバーが死んだ。『ごめんね。シルバー、ごめん!』

 庭も家も空っぽで、家族の笑顔が消えた年、昔の冗談から次の夢が頭をもたげました。「いつかはペンション。」~しだいしだい僕たちの心の中でふくらんで、今度は家族の合言葉になっていきました! あのチューリップがゆっくり小さな芽を出したように。


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