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僕らの絵日記~「タイムトンネルの向こうから」 [ゴールデンブログアワード]

 タイムトンネルの向こう側から、記憶の中を旅したら・・“10年”は、 あっという間に過ぎ去った・・ 僕たち家族の ごく当たり前の幸せは、たった10年で終わり・・でもそれは とっても大切で 僕には不思議な化石のように思えた・・。

3 「不思議な1日」・その2 

化石の谷のトンネルへ 「’94年9月7日 晴れのち曇」

「到着」 「あっ、トンネル見えてきた!」・・息子の大きな声が聞えて、突然現実に引き戻された。もう何キロ走っただろうか。黒いトンネルが向こうに見えていた。手前に柵があって、もうそれ以上車で進むことはできなかった。山の斜面に真っ黒な穴がぽっかりとあいていた。奥のほうは真暗闇だ。荒削りの壁はゴツゴツとした岩肌がむき出しになっており、しみ出した水で鈍く濡れていた。 

「入るべきか?・・」~ 「どうする?真暗やなあ。」 「無断で入ってもいいやろか。」 ~私達3人は、得体の知れない真暗な穴を前に一瞬躊躇した。 懐中電灯を忘れたことがまた悔やまれたが今さらどうしようもない。・・「あの川伝いに上がって行けないかなあ。」~「でも遠回りするのは、やっぱり天候が気になるし・・。」 皆でひとしきり意見を出しあった後、息子が、「大丈夫やろ、あの人らも行ったんやから。」と~皆を元気づけるように勢いよく言って、ザックを背負った。私はハンマーを手にしっかり握りなおした。そして、3人横一列になってトンネルの中へと入って行った。

「トンネルの中へ」 ・・初め見えていた岩肌もすぐ色が判別できなくなり、陰影がどんどんなくなっていった。・・壁を手探りするのは想像しただけで恐ろしい。何にもぶつからないで進んでいるのが不思議なぐらいだ。・・「一体何分掛かるんやろなァ」気にしていたことを息子が先口に出した。我々を気遣ってのことだろう。~いつの間にか息子が数歩先を歩いていた。・・私はできるだけその真後ろについた。

「漆黒の闇を歩く!」・・「ちょっとずつ曲がってるで!」・・・やがて光が全く届かなくなった。どんなに目を凝らしても、全く何も見えない。漆黒の闇。 初めての経験だった。~暗さに慣れるどころか・・一切何も見えなくなった! 今度は上下感覚がおかしくなってきた。足元はしっかり地面を踏んでいるにもかかわらず、体がフワフワ、雲の上のようだ。重力の感覚までおかしくなるような闇だった。~先を進む息子の足音と、左から聞える夫の足音で辛うじて自分の位置を測った。

「一歩、また一歩」・・もう何分ぐらい歩いたのだろう。そしてまだ後何分歩くのだろう。距離も時間も定かでない!それが「暗闇」と言う世界だ。もしこれが自分一人だったら、恐ろしくて絶対入れなかっただろう。

 

~全く先がわからないまま、ひたすら歩いて歩いて・・歩いた暗闇~ この体験は、 長い人生の トンネルの記憶と重なっていく・・それは途方もなく長くて 中にいる者には トンネルだと分からなかった・・苦しかったり 悔しかったり いろいろで・・でも振り返ると 一緒に歩いてくれた人の姿が見えてくる。 呼びかけてくれた人の声が聞え、 はるか向こうの 高い山のような存在に気づく!・・多くのものに 励まされて あのトンネルを 抜け出したのだ・・・!

~もう一度タイムトンネルの向こうへ戻ってみよう!・・2つ目の入り口へ!


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